かぶせ茶は、日本茶の中でも高級品と言われていて、煎茶とは違う魅力を持つ一品です。
その名の通り、茶葉を覆い遮光する独特の栽培方法が特徴です。
そこから生まれる深い旨味と上品な香りが多くの愛好者を魅了しています。
本記事では、かぶせ茶の基本と、楽しみ方、さらに選び方、最後に歴史まで、幅広く解説します。
かぶせ茶とは?日本茶の一つの魅力
かぶせ茶は、日本茶の中でも品質の高い物が多く、高級茶的な存在として知られています。
その上品な風味や栽培方法から、多くの日本茶ファンに愛されています。
名前の由来は、茶葉に日光を遮る布やネット、藁(わら)やよしずを被せることにあります。
この手法は「被覆栽培(ひふくさいばい)」と呼ばれていますが、これにより茶葉が旨み成分であるテアニンを多く含むようになるのです。これが、この栽培の仕方が、かぶせ茶特有の甘みとまろやかさの秘密です。

日光で光合成をする必要がある植物が、光をより吸収しやすいように葉をより濃い緑に、そしてより広い範囲で吸収するために葉の肉厚を薄くするので、本当に品質の良いものはステンドガラスのように美しい茶葉に仕上がるんだよ。
かぶせ茶の基本的な特徴
かぶせ茶の特徴は、何といってもその濃厚な旨みと甘み、そして深い緑色の茶葉です。
この茶葉は、通常の煎茶と比べて短期間日光を遮られることで、苦味成分であるカテキンの生成を抑え、アミノ酸を多く含むようになります。
- 濃厚な旨味:テアニンが多く含まれるため、甘みが感じやすい。
- 鮮やかな色合い:深い緑色が特徴で、見た目も美しい。
- 香りの良さ:日光を調整することで、香りが豊かになります。
これらの魅力が、かぶせ茶を他の日本茶と一線を画す存在にしています。
遮光素材や遮光率の違いで品質が変わる?
かぶせ茶の栽培で使われる遮光素材の比較表
遮光素材 | 素材の種類 | 遮光率 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|---|
寒冷紗(かんれいしゃ) | ポリエチレン(綿・麻もあり) | 50~90% | 通気性があり、適度に日光を取り入れる | 価格が安く扱いやすい | 遮光効果がやや弱い |
黒ビニールシート | ポリエチレン・ポリプロピレン | 90%以上 | ほぼ完全に日光を遮断 | 強い遮光効果、耐久性あり | 蒸れやすく温度管理が必要 |
藁・ヨシズ | 天然の藁や葦(ヨシ) | 50~80% | 伝統的な方法で自然な日陰を作る | 環境に優しく、断熱性がある | 管理が大変で耐久性が低い |
また、遮光の仕方には以下の2種類があります。
- 直掛け方式:茶の木に直接シートをかぶせる(手軽だが通気性がやや劣る)
- 棚掛け方式:支柱を立てて上部にシートを張る(通気性が良く、品質が安定)
遮光の方法や期間によって、かぶせ茶の甘み・旨み・渋みのバランスが変わります。



もちろん品質を選ぶなら、藁(わら)やヨシズを使って丁寧に茶葉に負担にならないように栽培した物の方が、上品で柔らかく、深みのある旨味を生んでくれます。
他の茶種との違い
日本茶と言っても、その種類は多岐に渡ります。
玉露、煎茶、抹茶など、どれも個性的ですが、かぶせ茶はその中で玉露と煎茶の中間に位置する存在として特に注目されています。



玉露は低温で抽出するともっと旨味が出ますが、熱いお湯で抽出するとなかなかうまく抽出できませんが、かぶせ茶は熱めのお湯で抽出してもなんだかんだ美味しく淹れれるので、まさに「ハイブリット茶」と言えちゃいますね。
※ただし、よくあるお茶の教科書に書いてあるように、温度は低めにした方がより美味しくたのしめます。
- 栽培方法:かぶせ茶は茶葉に布を被せる「被覆栽培」で育てられます。一方、煎茶は直接日光を浴びる露地栽培が主流です。
- 味わい:かぶせ茶は玉露ほど濃厚ではなく、煎茶よりもまろやか。適度な甘みと旨みがある。
- 価格:玉露ほど高価ではありませんが、煎茶よりは贅沢な価格帯。
このように、かぶせ茶は玉露の高級感と煎茶の手軽さを兼ね備えた、バランスの良いハイブリット茶と言えます。
かぶせ茶の楽しみ方
美味しい淹れ方のポイント
かぶせ茶の楽しみ方は、その豊かな風味を最大限に引き出すことがポイントです。
香りと味わいを存分に堪能するためには、適切な淹れ方や相性の良い料理を知ることが重要です。
また、ティータイムだけでなく、日常の食卓や特別な場面でも活用することで、その魅力をさらに広げることができます。
- 適温のお湯を使う:かぶせ茶には70〜80度程度の低温が適しています。高温すぎると渋みが強くなりすぎるため注意が必要です。
- 適切な量の茶葉:急須に対して約5gの茶葉を使用します。少なすぎると味が薄く、多すぎると濃すぎます。
- 抽出時間:約1分間じっくり待つことで、旨味がしっかり抽出されます。
- 二煎目も楽しむ:一煎目とはまた違った軽い味わいが楽しめます。
料理との相性と活用法
これらのポイントを守ることで、かぶせ茶の本来の美味しさを味わうことができるでしょう。
かぶせ茶は、そのまろやかな味わいと甘みから、料理との相性も抜群です。和食はもちろん、洋食やスイーツにもよく合います。
- 和食との相性:寿司や刺身のような繊細な味わいの料理とよく合います。
- 洋食との組み合わせ:クリーム系のパスタやチーズを使った料理とも好相性です。
- スイーツと一緒に:抹茶スイーツや和菓子、ショートケーキなど、甘みを引き立てる組み合わせが楽しめます。
また、かぶせ茶を使ったアレンジレシピも人気です。例えば、かぶせ茶を使ったお茶漬けやスムージーは新しい楽しみ方としておすすめです。
かぶせ茶選びのポイント4選
かぶせ茶を選ぶ際には、いくつかの要素に注目することで、より満足のいく一品を見つけることができます。
品質を見極めるコツ
- 茶葉の色:新鮮なかぶせ茶は、深みのある鮮やかな緑色をしています。色が褐色っぽい場合は、鮮度が落ちている可能性があります。
- 香りをチェック:茶葉の香りがフレッシュで甘みを感じさせるものを選びましょう。かすかに海苔のような香りも高品質の証です。
- 茶葉の形状:均一で美しい細長い形をしているものが良いとされています。粉っぽいものは避けた方が無難です。
- 産地を確認:福岡県や三重県や鹿児島県など、かぶせ茶の名産地のものは特に信頼できます。
これらのポイントを押さえて選ぶことで、初心者でも高品質なかぶせ茶を選べるようになり、かぶせ茶の魅力を存分に楽しむことができます。
それでも良く「分からないよぉ」って方ににおすすめの銘柄
かぶせ茶に興味を持った方には、まず手頃で親しみやすい銘柄から試してみるのがおすすめです。
- 伊勢茶(三重県):かぶせ茶の生産量日本一を誇る三重県の伊勢茶は、クセが少なく飲みやすいのが特徴です。初めての方にも安心して選べる銘柄です。
- 八女茶(福岡):上品でまろやかな風味とやさしい旨味が魅力。玉露やかぶせ茶ならまず間違いのない銘茶。
- 知覧茶(鹿児島県):甘みと旨味が強く、まろやかな味わいが魅力です。普段の食事にも合わせやすいので、初心者にぴったり。
- 掛川茶(静岡県):渋みと甘みのバランスが良く、品質も安定しています。飲み比べをする際の基準としてもおすすめです。
- 宇治玉露(京都府):玉露寄りの風味を楽しめる、少し贅沢な一品。特別な日に試してみるのも良いでしょう。
これらの銘柄は、日本茶専門店やオンラインショップでも手軽に購入しやすいです。初心者の方でも気軽に楽しめるので、上記で記載したポイントを参考にぜひ試してみてください。
かぶせ茶の歴史と伝統
かぶせ茶の歴史は、意外にも長いのです。
その起源を辿ると、日本の茶文化がまだ発展途上だった時代にまで遡ります。
かぶせ茶は、主に三重県や鹿児島県などで生産されており、特に三重県の「伊勢茶」はかぶせ茶の名産地として知られています。
日本でのかぶせ茶の起源
かぶせ茶の栽培方法である被覆栽培は、元々は玉露や抹茶の製造過程で使用されていた技術でした。
これを煎茶に応用することで誕生したのがかぶせ茶です。
その後、手軽に楽しめる高品質なお茶として人気を集めるようになりました。
かぶせ茶が本格的に普及したのは昭和期以降で、この時期に生産技術が向上し、現在のような高品質のお茶が作られるようになったのです。
茶農家が守り続ける製法
かぶせ茶の製法は、茶農家の長年の経験と技術が詰まった伝統の結晶です。
栽培の中でも特に重要なのが「被覆栽培」という技術で、茶葉を摘む前に光を遮る布を被せることで、旨味成分であるアミノ酸を多く含む茶葉が育ちます。
この方法は、通常の煎茶とは異なる特別な手間がかかるため、茶農家の技術と愛情が不可欠です。
さらに、収穫後の加工でも迅速に行われる蒸し工程や揉み方が、かぶせ茶独特の風味を引き出します。
茶農家たちはこの伝統を絶やさず、次世代にも受け継いでいます。
かぶせ茶で日本茶の奥深さを楽しむ
こんな感じで、日本茶の中でも特に独特な風味が魅力的なかぶせ茶は、その製法や歴史を知ることでさらに深い楽しみ方が見つかります。
味わうことで得られるリラックス効果や、料理との組み合わせで広がる可能性は計り知れません。
ぜひこの記事で得た知識を活かし、あなたの生活にかぶせ茶を取り入れてみてはいかがでしょうか。
お茶を趣味にしたい方で、どれから試していいのかわからない方でも楽しめる選び方もご紹介しましたので、まずは気になる一杯から始めてみるのもおすすめです。
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